こんにちは。当ブログでは、毎週のドルとユーロの為替相場について、重要イベントやマーケットの雰囲気を分かりやすく解説しています。今回は2025年4月7日(月)から4月14日(月)までの1週間を振り返りながら、足元の材料や注目ポイントを整理してみましょう。
1. 週初~週末にかけての主な動き
ドル(USD)
米国の金融政策スタンスを巡る思惑
2024年後半から続く利下げサイクルが一巡し、2025年初頭には米連邦準備制度理事会(FRB)が「景気過熱は抑えつつ、インフレ率は2%程度を維持したい」というスタンスを明確化。かつての急激な金融引き締め・緩和の繰り返しから一歩落ち着いた局面に入ったことが、為替市場の変動幅をやや抑える要因となっています。
週初(4月7日前後)は、米国内の耐久財受注やサービス業指数などの指標が総じて堅調に推移したため、ドル買いが先行する場面が見られました。
米CPI発表による一時的な変動
4月10日(木)には2025年3月の米CPI(消費者物価指数)が発表されました。前年同月比2.4%前後と、エコノミスト予想の2.5%をやや下回ったことを受け、「FRBが追加緩和策を検討するのでは」という思惑からドル売りが優勢となる時間帯も。
しかし、同時に発表されたコアCPI(食品とエネルギーを除く指標)がまだ2.5%台を維持していたことで、「大幅な追加緩和までは踏み切りにくい」との見方も根強く、最終的には大きなドル安トレンドには繋がりませんでした。
週末にかけての落ち着いた展開
週末(4月12日以降)は米企業の1~3月期決算発表シーズンが本格化。市場の注目は景気動向に移り、安全通貨とされるドルはやや買い戻される展開に。最終的には、週初の水準からややドル高寄りで引けた印象です。
ユーロ(EUR)
ECBの金融政策:利上げ局面の行方
2024年末ごろまで続いた欧州中央銀行(ECB)の段階的な利上げは、2025年に入って一服感を見せているものの、**「インフレ率が2%台半ばで粘着質に推移している」**との懸念があり、追加利上げ余地がまだ残っているとの見方がくすぶっています。
一方で、ユーロ圏の景気指標はややまちまちで、ドイツやフランスでは輸出の伸びが鈍化しており、金融政策の舵取りが難しくなっています。
指標発表と要人発言による影響
4月9日(水)にはユーロ圏の3月生産者物価指数(PPI)や、ECB要人の講演が相次ぎました。PPIが予想をわずかに下回る結果となったことで、一時的にユーロ売りが強まる場面も。しかしながら、「ECBによる追加利上げもまだ視野にある」とのタカ派的な発言が複数の理事から出たことにより、ユーロは下げ渋る形となりました。
週後半の推移
4月10日(木)以降は、米CPIをきっかけとしたドルの動きに連動し、ユーロは一時対ドルで売られる局面があったものの、その後は買い戻しも入り、最終的にやや下押ししながらも底堅い水準で週末を迎えました。
2. 今週のポイント:金融政策“平衡点”の見極め
2023~2024年にかけて世界各国がインフレ対策として急速に利上げを行い、それが2024年下期には景気後退懸念を受けて緩和方向に転じるなど、ここ数年の金融政策はめまぐるしい動きを見せてきました。
2025年に入り、**米国FRBは「やや落ち着いた」金融政策、ECBは「インフレ警戒姿勢を保ちつつも利上げペースは一旦調整」**という状態で、双方ともに大きく動く兆しは限定的です。こうした状況下では、為替レートも株価や債券市場の動向と連動しやすく、短期的には突発的な指標や要人発言がカギを握ります。
3. 来週以降の見通しと注目材料
米国
4月下旬から5月にかけて発表される1~3月期のGDP速報値、およびPCEデフレーター(FRBが重視するインフレ指標)の内容が注目されます。インフレがさらに落ち着くようなら、追加利下げを意識したドル売り要因になる可能性も。逆に、コアインフレが予想以上に強ければ、再びドル買いが加速する展開も考えられます。
ユーロ圏
ECBの次回理事会で「利上げ継続」か「一旦据え置き」か、明確な政策スタンスが示されるかどうかがポイントです。域内の景気指標で、特にドイツとフランスの経済状況に下振れの兆候が出れば、ユーロがやや売られやすくなる可能性があります。また、地政学リスクやエネルギー価格の動向にも注意が必要です。
まとめ
4月7日から14日にかけてのドル・ユーロ相場は、FRB・ECBともに大きな方向転換を示唆する材料がなかったことから、比較的落ち着いた推移となりました。米国CPIがわずかに市場予想を下回ったことで、ドルが一時軟化する場面もあったものの、底堅さを維持。ユーロもECBのタカ派姿勢が根強く、下押しは限定的でした。
今後の焦点は「両中銀の政策金利がどの水準で落ち着くのか」という“平衡点”をマーケットがどう織り込むかです。インフレ指標・景気指標・要人発言の内容次第では、方向感が出やすい地合いとなる可能性があるので、引き続き注視していきましょう。
それでは、また来週の為替マーケット分析でお会いしましょう!
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