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10月10日、S&P500が前日比−182.60ポイント(−2.71%)の6,552.51まで急落しました。
アメリカ政府の一部閉鎖(シャットダウン)リスクが現実味を帯び、投資家心理が一気に冷え込んだ格好です。ここでは、今回の下落要因と今後の展開を整理します。
【1】政府シャットダウンが市場心理を直撃
今回の急落の最大要因は、米議会で予算案が可決できず、政府機関の一部閉鎖が発生したことです。
政府機能が一部止まると、経済指標の発表が遅れ、政策判断の透明性が低下します。
また、短期国債市場でも混乱が起きやすくなり、リスク資産から資金が逃げる傾向が強まります。
さらに、トランプ前大統領による対中関税強化発言も追い打ちをかけ、市場はリスク回避に傾きました。
この2つの要素が重なり、「米国経済が鈍化するかもしれない」という懸念が一気に広がった形です。
【2】歴史的には「政府閉鎖=暴落」とは限らない
ただし、過去のデータを振り返ると、「政府閉鎖」が長期的に株価を押し下げるケースは多くありません。
モルガン・スタンレーの分析によると、1976年以降に20回以上あった政府閉鎖のうち、多くは数週間以内に市場が回復しています。
エドワード・ジョーンズも「閉鎖期間中はボラティリティ(変動)が高まるが、経済の基調が崩れなければ株価は持ち直す」と指摘しています。
つまり、今回の急落も「短期的なショック」に過ぎず、経済の基礎体力が強ければ中期的には戻す可能性が高いと考えられます。
【3】テクニカル的には短期調整の可能性
チャートを見ると、S&P500は25日移動平均線を一気に割り込み、8月安値(6,350付近)が次の下値メドになりそうです。
このラインを明確に割り込むと、心理的節目の6,200〜6,300まで調整する可能性があります。
一方で、9月から上昇をけん引していたハイテク株(特にAI関連)は依然として強く、指数全体を押し上げる支えになる可能性があります。
過去にも、政府閉鎖をきっかけに短期で3〜5%下落したあと、急速に反発するパターンが何度も見られました。
【4】今後の見通しと投資戦略
以下のようなシナリオが考えられます。
- 短期的な下落継続(確率:高)
投資家心理が冷え込み、もう一段の売り圧力が出る可能性。
ただし、急落幅が大きいため反発も入りやすい。 - 反発・レンジ形成(確率:中〜高)
政府閉鎖が一時的な要因とみなされれば、過剰反応が巻き戻される展開も。
テクニカル的には6,400〜6,700付近でのレンジ形成が想定されます。 - 下落トレンド転換(確率:中)
閉鎖が長期化し、経済活動に実質的な悪影響が出始めた場合は別。
雇用や消費データが悪化すれば、年末にかけての調整リスクも。
【5】筆者の見立て
筆者は、今回の下落は「恐怖による売り先行」であり、実体経済の弱さを示すものではないと考えます。
むしろ、この局面は中長期投資家にとって「押し目買い」の好機となる可能性があります。
特に、AI・半導体・エネルギーインフラといった構造的成長分野は依然として堅調。
S&P500全体で見れば、EPS(1株利益)予想も前年同期比で増加傾向を維持しています。
よって、「一時的な揺れに惑わされず、長期目線を維持すること」が肝要です。
【まとめ】
・政府シャットダウンでS&P500が急落
・過去の事例では、閉鎖後に相場が回復するケース多数
・テクニカル的には短期調整中、下値メドは6,300前後
・長期投資家にとっては買い場の可能性も
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