#620 ゴールデンウィーク明けの取引再開で見せた強弱対照 ― 日経平均は4週連続上昇、ダウ平均は小幅下落

1.今週の全体サマリー

ゴールデンウィークの関係で東京市場は5月7日から9日の3日間取引となった。日経平均株価は前週末比で+1.8%上昇し、3万7503円で取引を終えたのに対し、ニューヨーク市場のダウ平均株価は4万1249.38ドルとなり、前週末比で約-0.16%の小幅下落だった。日経平均は4週連続の上昇を記録し、3万7000円台を回復した一方、ダウ平均は米中貿易交渉の経過観測やFOMC(米連邦公開市場委員会)通過を控えた落ち着いた展開のなか、ほぼ横ばいだった。   

 

2.日経平均の動きと背景

終値は3万7503円(前週末比+672円、+1.8%)と、4週連続で上昇した。 

東京市場の上昇要因として、日銀が利上げペースを鈍化させるとの見方が広がったことや、米中関税交渉の進展に伴うリスク緩和期待が挙げられる。

・ 連休明け3日間の取引では、7日のFOMC待ちムードで売買はやや手控えられたものの、8日の米英貿易協定発表による安心感と、9日の国内企業の好決算を手掛かりに徐々に買いが上回った。

・ セクター別には輸出関連の電機・半導体株に買いが入り、TOPIXも11連騰と堅調な地合いが続いた。

 

3.ダウ平均の動きと背景

終値は4万1249.38ドル(前週末の4万1317.43ドルから-68.05ドル、-0.16%)と小幅下落。 

・ 週前半は5月7日のFOMC政策金利据え置きが発表され、慎重な声明内容ながらも市場へのショックは限定的だったことで、指数全体はプラス圏で推移した。 

・ 8日には米英貿易協定の詳細発表を受け、テクノロジー株中心に買い戻しが入ったものの、9日にトランプ大統領の対中交渉発言やドル高・長期金利の横ばいが重しとなり、週間では若干の下落となった。

・ S&P500は週間で-0.5%、ナスダックはほぼ横ばいだった。 

 

4.両市場を動かした共通要因

・ 米中貿易交渉

 米中間の高レベル協議が週末に予定されており、その進捗期待と警戒感が両市場のセンチメントを左右した。日中の関税緩和観測は買い材料、再交渉リスクは売り材料として働いた。

FOMC通過

 5月7日の米連邦公開市場委員会で、政策金利は据え置かれたが、声明で「インフレ上昇リスク」に言及したことで、市場は神経質な反応を見せた。東京市場はこの影響を織り込みながらも堅調だった一方、ニューヨーク市場は週後半のボラティリティが低下し、トレンドが定まらなかった。

・ 為替動向

 ドル円は1ドル=140円前後で推移し、円安基調が輸出関連株の支援要因となった。逆にドル高は米国株の一部輸出企業にとって重しとなり、指数の上値を抑えた。

 

5.比較まとめ

日経平均は+1.8%と4週連続の上昇、ダウ平均は-0.2%弱の小幅調整。

・ 取引日数の違い(東京市場3日、米国市場5日)も影響したが、両市場ともに貿易交渉・金融政策が主なテーマだった点は共通している。

東京市場は国内証券会社の「需給好転」と大型連休後の資金流入を受けて上昇基調を維持。米国市場は重要イベント消化後の様子見姿勢が強まり、やや弱含んだ。

 

6.来週以降の展望

・ 5月12~16日の東京市場では、国内企業の決算発表ラッシュが控えるほか、米中首脳会談や欧州央⾏理事会(ECB)の政策会合にも注目が集まる。需給面ではゴールデンウィーク明けの反動売り懸念もあり、調整局面が警戒される一方、日銀追加緩和観測が台頭すれば再度の上昇も期待できる。

・ 米国市場は来週の重要経済指標(小売売上高・消費者物価指数)や米中貿易の具体的合意内容が焦点。インフレ動向次第では年内利下げ期待の後退→長期金利上昇、株価調整リスクが高まる。

 

おわりに

連休明けの週は短期イベントに振り回されやすいが、長期的には米中貿易協議と金融政策が市場の潮流を決める。本ブログを参考に、銘柄選定とリスク管理にお役立ていただければ幸いです。

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